プライバシーに関する電子書籍バイヤーズガイド

2009年12月27日
posted by マガジン航

以下の文章は、エド・ベイリー(Ed Bayley) による An E-Book Buyer’s Guide to Privacy の日本語訳である。


2009年の終わりまで秒読みだが、今年のホリデーショッピングの季節の期待の星電子書籍リーダー(Eリーダーとも呼ばれる)である。アマゾンキンドルからバーンズ&ノーブルから新発売のNookにいたるまで、電子書籍リーダーは、MP3が我々の音楽の買い方や聞き方を買えたのと同じように、我々の本の買い方や読み方を変え始めている。

残念なことに、電子書籍リーダーの技術は、読者のプライバシーに新たな重大な脅威をもたらしてもいる。電子書籍リーダーには、利用者の読書習慣や場所に関する相当量の情報をリーダーを販売する企業に報告し返す機能がある。しかも主要な電子書籍リーダーのメーカーで、どんなデータが収集されるのか、またその理由についてはっきりとした言葉で消費者に説明しているところは皆無だ。

こうした問題を解決する第一歩として、電子フロンティア財団は電子書籍のプライバシーに関するバイヤーズガイドの初稿を作成した。我々は、メーカーがどんな情報を収集、共有する権利を保持しているか判断するために、市場の主要な電子書籍リーダーのプライバシーポリシーを調査した。(その後、この一覧表はアップデートされている。オリジナルはこちら。その翻訳はこちら。)

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*Googleブックスのプライバシーポリシーを基にした。このポリシーはGoogleブックの和解の最終承認の前に変更されることがある。
**Nookは2010年1月まで出荷されないので、今のところ製品に特化した利用規約やプライバシーポリシーはまだ公開されていない。一般的なバーンズ&ノーブルのプライバシーポリシーを基にした。

例えば、Googleの新たなGoogleブック検索プロジェクトには、かつてないレベルの精度で読書習慣を記録する機能がある。特に、提案されているGoogleブックのプライバシーポリシーによれば、ウェブサーバはどの本、どのページを検索して読んだか、どれくらいの時間閲覧したか、そして次に続けて読んだ本やページを自動的に「記録する」:

Googleブックスをご利用される場合、我々はウェブ検索で受信するのと同じようなログ情報を受信します。これには以下の情報が含まれます:検索語やページリクエスト(これには閲覧中の本の特定のページが含まれる可能性があります)、IPアドレス、ブラウザの種類、ブラウザの言語、リクエストがあった日付や時間、ブラウザを一意に識別できる一つ以上のクッキー情報。

それに加え、ユーザが本を購入したり閲覧するにはGoogleアカウントが必須なので、ユーザが「購入済」の本を閲覧する権利を諦める場合を除き、Googleはウェブ履歴サービスによって購入するすべての本に関するファイルを保持することになる。

物理的な電子書籍機器も読者のプライバシーに似たような脅威をもたらす。例えば、キンドルは本を売るのではなく、本、雑誌、そしてその他のマテリアルのライセンスをキンドルストアから無線ダウンロードするライセンスを売るが、これは特定の機器上でしか行使できない。これは暗に、どんなときでもユーザがライセンスを取得しているマテリアルの何を読んでいるかアマゾンが知ることを強制していることになる。

しかし、さらに憂慮すべきなのは、消費者がどのように機器を使っているか記録することに関してアマゾンが自らに与える広い裁量権である。キンドルの使用許諾契約と利用規約には以下のようにある:

受信する情報:機器のソフトウェアは、機器とそのサービス[すなわち無線接続、キンドル・ストアへの注文など]とのやり取りに関するデータ(利用可能なメモリ、動作可能時間、ログファイル、信号強度など)や機器上のコンテンツとその利用に関する情報(最後に読んだページの自動ブックマークや機器からのコンテンツ削除など)をアマゾンに提供します。機器上で行う注釈、ブックマーク、メモ、強調、類似のマーキングはサービスを通じてバックアップされます。我々が受信する情報はAmazon.comプライバシー警告に従います。

言い換えれば、あなたのキンドルはアマゾンにあなたの情報を定期的に送信することになる。しかし、正確にはどんな情報が送られるのだろう?アマゾンの言い回し――「機器上のコンテンツとその利用に関する情報」――はかなり広く解釈できるので、コンテンツをアマゾンから買ったかに関係なく、利用者がキンドルに載せるすべてのコンテンツをアマゾンが記録できるようにも読める。キンドルは利用者のGPS位置を記録している可能性さえあると指摘するセキュリティ研究者もいる。これが読書の未来なのだろうか?

ありがたいことに、無線接続を行わず、機器上のコンテンツやその利用について監視を許可するプライバシー条項や「利用規約」を持たない電子書籍リーダーの選択肢が存在する。例えば、ソニーのReaderは、ソニー自身の電子書籍ストアでどの本を買ったという情報を収集するかもしれないが、Readerは他のストアから購入した本も読める。さらに安全を考慮するなら、オープンソースのFBReaderなど人気の電子書籍リーダーソフトウェアだと、利用者はPCや携帯電話を含む数多くの機器上にある無数の情報源から、読書習慣についての情報を単一のソースなり誰かに渡すことなくコンテンツをダウンロードできる。

とはいえ、今年のホリデーシーズンは、インターネット接続を電子書籍リーダーに必須の機能と考える多くの買い物客にとって完璧な選択肢は存在しない。来年の今頃までには、電子書籍リーダーのメーカーが利用者のプライバシーを真剣に考えるという難題に挑んでいるのを期待しようではないか。

(日本語訳 yomoyomo)