連載「往復書簡:創作と批評と編集のあいだで」

小説家の藤谷治氏と本誌編集発行人の仲俣暁生が、出版や文学の現状と未来について往復書簡のかたちで語り合う連載企画です。

棺を蓋うて事定まる

2023年4月10日
posted by 藤谷 治

第37信(藤谷治から仲俣暁生へ) 仲俣暁生様 二人の偉大な日本人芸術家が、ともに三月のうちに亡くなったというのは、僕にとっても思うところの多い出来事でした。三日に大江健三郎氏が亡くなったと報道され、その死と業績について思… 続きを読む

魂のことをする

2023年4月6日
posted by 仲俣暁生

第36信(仲俣暁生から藤谷治へ) 藤谷治様 大江健三郎さんが亡くなりました。その死に自分でも驚くほど静かな衝撃を受けています。 生前はろくに読まなかった作家をその没後にようやく読み始めるのは、あまり行儀のよいことではない… 続きを読む

小説の”古層”へ

2022年11月28日
posted by 藤谷 治

第35信(藤谷治から仲俣暁生へ) 仲俣暁生様 10月半ばの僕のフェイスブックの記事に、仲俣さんが恐らくは何の気なしに「時代小説なんてどうですか」と書いた、その一言に自分でも驚くほど触発されて、今の僕は平将門についてあれこ… 続きを読む

様式によって動き出すものがある

2022年9月24日
posted by 仲俣暁生

第34信(仲俣暁生から藤谷治へ) 藤谷治様 暑さ寒さも彼岸までという昔からの言葉どおり、台風14号が通過した後の東京はすっかり涼しくなりました。私が仕事場にしている部屋は陽当りがよすぎて、夏の間はどんなにエアコンを強くか… 続きを読む

新しい野蛮状態の先へ

2022年8月18日
posted by 藤谷 治

第33信(藤谷治から仲俣暁生へ) 仲俣暁生様 降れば水害、照れば灼熱という日本の夏を、青息吐息というほどではないにせよ、息苦しく暮らしているうちに、広い社会では恐ろしい出来事が次々に起こりました。七月には元首相が選挙の応… 続きを読む