ここでもういちど「書物史」運動について――。 この運動の起りは一九三〇年代のフランスで開始されたアナール学派の歴史学にあったようです。マルクス主義史学をふくむ従来の歴史学が戦争や政治などの大きな事件を重視したのに対して、… 続きを読む
連載「書物史の第三の革命」
津野海太郎さんの『電子本をバカにするなかれ』(国書刊行会)収録の長文エッセイ「書物史の第三の革命~電子本が勝って紙の本が負けるのか?」より、第1章から第5章までを抜粋して先行公開したものです【全5回・完結】。
4 若者が本を読まなくなった
2010年10月30日posted by 津野海太郎
それでも、いざそう考えてふり返って見ると、森、アドルノ、藤田といった人たちの批判もふくめて、急激な成長がみずからの終りを準備し、この黄金時代はいずれ崩れるしかないんじゃないかという予感が、一九五〇年前後から、けっこう多く… 続きを読む
3「読者ににじり寄る」ことと「自分を大切に思う」こと
2010年9月9日posted by 津野海太郎
しかし残念ながら話はそこでは終わりません。つまり、われわれの「本の黄金時代」はたんにピカピカ光り輝いていただけでなかった。じつはその背後に、暗い、ちょっと情けないみたいな一面をも併せもっていたということです。 印刷は「同… 続きを読む
2「本の黄金時代」としての二十世紀
2010年7月6日posted by 津野海太郎
そこで、まず「本の黄金時代」について。私たちの多くがそこで生きていた二十世紀の百年が、あとにも先にも例のない本の力(能力でも権力でもあるような)の最盛期だったというのは、具体的に、どんなことを意味しているのか。 いちばん… 続きを読む
1 本と読書の世界が変わりはじめた
2010年6月3日posted by 津野海太郎
いま、というのは二十一世紀の最初の十年がたった現在という意味ですが、そのいま、私たちにしたしい本と読書の世界が大きく変わろうとしている。 そのことを前提としてみとめた上で、この変化を「本の電子化やインターネット化に乗りお… 続きを読む