ニューヨーク生まれの「返品ゼロ」の出版社ORブックスはどのように経営されているのか? 2018年12月にボイジャーから発売された、秦隆司著『ベストセラーはもういらない』に登場する同社の共同経営者ジョン・オークスが来日し、東京・日比谷図書文化館にて講演を行う(参加無料・要事前予約)。
ジョン・オークス氏とは
ジョン・オークス(John Oakes)氏は1961年ニューヨーク生まれ。ORブックスを創業以前にはグローブ・プレスという出版社で働き、伝説的な文芸編集者バーニー・ロセットと出会った(当時のエピソードも『ベストセラーはもういらない』でたっぷり語られている)。1987年にフォー・ウォールズ・エイト・ウィンドウズ(4W8W)という出版社を知人と立ち上げ、同社売却後、2009年にコリン・ロビンソンと共同でORブックス(OR Books)を創業した。電子書籍とオンデマンド印刷のみで「返本ゼロ」をめざす同社の出版活動は未来の出版事業のモデルとして注目されている(下は同社創業時のプロモーション映像)。
現在の出版システムは完全に死んでいる?
オークス氏は2013年にボイジャーから翻訳刊行された『マニフェスト 本の未来』にも「出版再考――痛みを感じ、傷みを抑える」を寄稿。一部のベストセラーに依存した現代の書籍出版はシステムとして完全に失敗しており、(人気コメディ番組「モンティ・パイソン」の台詞にならって)「出版は完全に死んでいる」とするショッキングな内容だった(2013年に開催されたDigital Book 2013に参加した際のオークス氏の映像取材が以下で公開されている)。
『ベストセラーはもういらない』(ボイジャー刊)
『ベストセラーはもういらない』の著者である秦隆司氏(「マガジン航」の寄稿者でもある)は1996年に『アメリカン・ブックジャム』というアメリカ文学専門の文芸雑誌を創刊。2012年には同誌のeBook版「eブックジャム」をボイジャー社から出版している。この日の講演には秦隆司氏のほか、ボイジャー代表取締役の鎌田純子氏も登壇。講演後にはレセプションパーティも予定されている。また参加者には特別小冊子としてジョン・オークス著「アイデアの錬金術 出版と文化」も配布される。
ジョン・オークス来日記念講演〜「生き残るための出版マネージメントとは?」
【日時】
2019年1月31日(木)14:00〜16:00(開場13:30)
【会場】
日比谷図書文化館 大ホール(東京都千代田区日比谷公園1-4)
【登壇者】
ジョン・オークス(ORブックス)
秦隆司(『ベストセラーはもういらない』著者)
鎌田純子(ボイジャー代表取締役)
【参加方法】
参加費無料(先着200名)、
*以下のサイトを参照のうえお申込みください。
https://store.voyager.co.jp/special/you-dont-need-bestseller-anymore#info
執筆者紹介
- 2009年10月に、株式会社ボイジャーを発行元として創刊。2015年からはアカデミック・リソース・ガイド株式会社からも発行支援をいただきあらたなスタートを切りました。2018年11月より下北沢オープンソースCafe内に「編集部」を開設。ウェブやモバイル、電子書籍等の普及を背景にメディア環境が激変するなか、本と人と社会の関係をめぐる良質な議論の場となることを目指します。
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