Editor’s Note

2013年2月18日
posted by 仲俣暁生

先週末に、ふたつの連載企画をスタートしました。ひとつは日常編集家のアサダワタルさんによる「本屋はブギーバック」という、本屋さんでのワークショップ実践と連動させた企画です。

本を使った社会実験

インターネット書店や電子書籍の登場、新古書店や図書館との競合によって、書店ビジネスが難しくなっていくなか、大胆な発想の転換で、本屋さんを「本を使った社会実験」の場にしてしまおう、という提案ですが、さっそくこの連載と並行したイベントを、実際にスタンダードブックストア心斎橋店で3月に行うことになりました。

今回の記事はその前段階として、これまでにアサダさんがなさってきた「日常編集」の例を紹介してくれています。これらが「本屋」で行われたらどうなるのか、いまからとても楽しみです。「マガジン航」編集人として、私もこのイベントに出演しますので、ぜひご来場ください。

スタンダードブックストア×マガジン航 presents
「本屋でこんな妄想は実現可能か!?」トーク&ワークショップ

日時:2013年3月23日 open 11:15 start 12:00
出演:仲俣暁生×アサダワタル×中川和彦
会場:スタンダードブックストア 心斎橋 BFカフェ
※詳細はスタンダードブックストアのサイトをご覧ください。

人はなぜ本を「出版」するのか

もう一つの新連載は、編集者の清田麻衣子さんによる「本を出すまで」。出版社勤めをやめ、自らの版元を起こして出版活動をはじめることにした清田さんに、会社を立ち上げ、実際に本が出版されるまでのプロセスを具体的に綴っていただきます。

それと並行して、すでに一人あるいは少人数で活動している小出版社の人たちにも取材していただき、本がなかなか売れない時代、読まれない時代に、それでもなお「出版」の志を掲げようとする人たちの理由や動機、方法論を伝えていければと考えています。

初回で取材していただいたのは、京都の編集工房〈SURE〉の北沢街子さん。京都の町で、そこに住む人々の小さなサークルから生まれ、人から人へ、手渡しで売られていく本のあり方がうかびあがります。今後の展開にぜひご期待ください。

執筆者紹介

仲俣暁生
フリー編集者、文筆家。「シティロード」「ワイアード日本版(1994年創刊の第一期)」「季刊・本とコンピュータ」などの編集部を経て、2009年にボイジャーと「本と出版の未来」を取材し報告するウェブ雑誌「マガジン航」を創刊。2015年より編集発行人となる。著書『再起動せよと雑誌はいう』(京阪神エルマガジン社)、共編著『ブックビジネス2.0』(実業之日本社)、『編集進化論』(フィルムアート社)ほか。