TIBF2009 ボブ・スタイン講演録

2009年7月9日
posted by マガジン航

―  イントロ 萩野正昭(ボイジャー)  ―

米国ボイジャーは1984年にアメリカの西海岸のサンタモニカに生まれました。
レーザーディスク事業に携わっていました。ちょうどその時、私たちも、パイオニアでレーザーディスク事業に携わっていました。彼とはレーザーディスクを通じて、インタラクティブなソフト開発をともに推進する仲間として知り合ったのです。そして、やがて私たちは彼と新しい会社ボイジャー・ジャパンを1992年につくりました。

お互いに禿頭で、顔も何となく似通っていて、年齢も1946年生まれで一緒なんです。知り合ってかれこれ30年になります。外国人でありながら、こんなに仲良くなったというのも不思議なものだなとおもいます。ともにいろいろな困難を乗越えてきた、その絆なのでしょう。

それでは今から、ボブ・スタインに話をしていただこうとおもいます。

お集まりいただきありがとうございます。

私自身今年も世界のいくつかのブックフェアに参加してきていますけれど、今回のこの東京国際ブックフェア程、将来の出版事業を垣間見るようなところはありません。どこの国のブックフェアに行ってもいまだに紙の本が列んでいるというのに対して、これだけデジタル・デバイスあるいはその周辺にあること、そして電子書籍ということについて展示されているブックフェアはここ以外にはないからです。

先ほど同志である萩野から紹介いただいたように、私たちはもうすでに30年程一緒に仕事をやってきています。その中で、本というものが一体どういう意味を持ってきたのかということについてお話したいとおもいます。

今お見せしている左の写真は、1950年代に、初期の天文学について書かれたものです。この本は、コペルニクスについて、太陽を惑星が周回しているという地動説について語られたものです。そして、誰も読んだことのないということについて触れているのです。それから随分時間が経って、ハーバードの教授がこの誰も読まれなかった本について書いています(写真右)。ダブリンのトリニティカレッジで素晴らしい本を見つけたのです。(*注:トリニティカレッジ(ダブリン大学)=アイルランド最古の大学。400年以上の歴史と伝統を誇る)

見つけた本というのは、先ほどの初期の天文学に関する初版でした。右側の方を見てわかるように、印刷されたものと、左側の半分は、注釈というか手書きのノートが記されていました。誰も読んだことがないというタイトルからもわかるように、これだけ余白に書込みがなされていたということです。

それから20年間、この教授はコペルニクスの地動説についての本を求めて、初版、二刷りというように、それらを見ることを追求してきた次第です。実際に200冊ぐらい見つけたということです。どの本に関しても、びっくりするぐらいの長い注釈あるいは書込みが記載されているということを発見しました。

大体のケースは、一人だけでなくて、何人かの人たちが前に書いた人に対して反応しています。例えば教授の見解、それに対する学生の反応、そういった書込みがされていたということです。

お話してきたことは、正に今日これからのテーマである、本とは何であろうか?ということにつながるわけです。

続きはこちら:http://www.voyager.co.jp/sokuho/img_tibf_report/tibf09_bobstn.html