まもなく今年も東京国際ブックフェアおよび併催の国際電子出版EXPOが開催されます。楽天がKoboの電子書籍端末を7月末に発売開始することを発表し、アマゾンも日本でのKindleの近日発売を正式にアナウンスするなど、電子書籍をめぐる動きはあわただしくなっていますが、今後の最大の技術的なトレンドはEPUB3と呼ばれる国際的な電子書籍フォーマットの普及です。
今年の国際電子出版EXPOでは、このEPUB3の策定にかかわる国際電子出版フォーラム(International Digital Publishing Forum=IDPF)の事務局長であるビル・マッコイ氏、EPUB3普及のための「Readium計画」のプロダクト・マネージャであるマーカス・ギリング氏、“EPUB Straight to the Point”の著者エリザベス・カストロ氏を海外から迎え、日本側のスピーカーをまじえたカンファレンスが7月4日(水)の午後に行われます(有料・定員500名。詳細はこちら)。
また4日の午前には野間省伸氏(講談社代表取締役社長)、三木谷浩史氏(楽天代表取締役会長兼社長)×小城武彦氏(丸善CHIホールディングス代表取締役社長)、ビル・マッコイ(IDPF事務局長)が登壇する「人々が求める書籍/出版に私たちはどう応えていくのか」という無料のシンポジウムも開催。さらに翌5日(木)には「EPUB3/DAISYはバリアフリー読書を支援する」と題して、マーカス・ギリング氏と河村宏氏(DAISYコンソーシアム理事)による無料セミナーも開催されます。
※ビル・マッコイ、マーカス・ギリングの両氏は7月5日の午後にボイジャーのブースで行われるスピーキング・セッションにも登壇します(他の日のスピーカーなど詳しい情報はこちらを参照)。
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この会議に先立ち、IDPFの理事もつとめるボイジャーの萩野正昭による、EPUB3の意義とReadium計画の概要をまとめた記事「電子出版はみんなのものだ、そう誰かが叫ぶべき」を公開します。このなかではアマゾンやグーグル、アップルといった先行する海外勢に対抗しうる「一縷の希望」として、オープンな電子書籍フォーマットとしてのEPUB3の可能性が語られています。上記のカンファレンスやセミナーにご参加いただく前に、ぜひお読みください。
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執筆者紹介
- フリー編集者、文筆家。「シティロード」「ワイアード日本版(1994年創刊の第一期)」「季刊・本とコンピュータ」などの編集部を経て、2009年にボイジャーと「本と出版の未来」を取材し報告するウェブ雑誌「マガジン航」を創刊。2015年より編集発行人となる。著書『再起動せよと雑誌はいう』(京阪神エルマガジン社)、共編著『ブックビジネス2.0』(実業之日本社)、『編集進化論』(フィルムアート社)ほか。
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