「2010年代の出版を考える」イベント報告

2010年2月7日
posted by 仲俣暁生

2月1日の夜、東京・阿佐谷のAsagaya/Loft Aで、「2010年代の出版を考える」というトークイベントを開催しました。これはそのイベントの結果報告です。

壇上向かって右から沢辺、橋本、仲俣、高島の各氏。会場は100人を超える観客で満員。

壇上向かって左から沢辺、橋本、仲俣、高島の各氏。会場は100人を超える観客で満員。

登壇者はポット出版の沢辺均さん、語研の高島利行さん、「情報考学」という書評ブログで知られる橋本大也さん、そして「マガジン航」編集人の仲俣の四人。

このほか、リアルタイムでtwitterに中継する(いわゆる「tsudaる」)役割を、この言葉の語源であるジャーナリストの津田大介さんと、畠中英秋さんが買って出てくださり、ネット中継もポット出版が行ったUstreamのほかに、深水英一郎さんがニコニコ生放送でオンエアしてくれるなど、ITに詳しい人たちの助力により、来場者以外の方も参加できる、画期的なトークイベントになりました。

ポット出版の那須ゆかりさんによる「2010年代の出版を考える」イベントレポートで紹介されているとおり、当日の来場者数は立ち見も含め140人、このほかUstreamの視聴者が最大時で1150人、ニコニコ生放送での視聴者が1149人、コメント数が2984人と、予想を超える多くの人々の参加が得られました。ネット系のイベントでは、すでにUstreamとTwitterの組み合わせによる中継がさかんに行われていますが、出版系のイベントでここまでのリアルタイム性とインタラクティブ性が実現できたのも、多くの方の協力のおかげです。あらためてここでお礼を申し上げます。

来場者の多くが出版関係者(出版社の比率が最大でしたが、書店、取次、フリーランスのライターや編集者の方も多数)であったにもかかわらず、iPhoneユーザーやTwitterユーザーの比率がかなり多かったのは、予想していたとはいえ、やや驚きです(キンドルをすでに持っているという人も10人以上もいました)。twitter上でイベントの告知をしたこととも関係があると思いますが、個人レベルでは、出版人のIT環境への対応はかなり進んでいるな、という印象を受けました。

私自身が登壇していたため、当日のトークの内容については客観的な評価ができないのですが、幸い、ネット上に来場してくれた方によるすぐれた記事がいくつも公開されています(EBook2.0 Forumの「2010年の出版」視聴記、新刊JPニュースのぶっちゃけ&爆弾発言連発!? 「2010年代の出版を考える」トークイベントをレポート!、Traveling LIBRARIAN−旅する図書館屋の「雪の電子書籍元年!?」、浅草・吾妻橋発 てきとーじゃーなるの「2010年代の出版を考えるヨッパライ」など)ので、ぜひこちらをご覧下さい。

当日参加できなかった方も、ライブ中継を行ったUstreamの映像が、前半部分のみ、いまも録画で視聴できますので、こちらをご覧下さい。また、twitter上のハッシュタグ #pub2010 のタイムラインも、いまものんびりと継続中です。

なお、この日のトークの内容を電子出版して販売することも計画しています。詳細が決まりしだい発表しますので、こちらもご期待ください。

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執筆者紹介

仲俣暁生
フリー編集者、文筆家。「シティロード」「ワイアード日本版(1994年創刊の第一期)」「季刊・本とコンピュータ」などの編集部を経て、2009年にボイジャーと「本と出版の未来」を取材し報告するウェブ雑誌「マガジン航」を創刊。2015年より編集発行人となる。著書『再起動せよと雑誌はいう』(京阪神エルマガジン社)、共編著『ブックビジネス2.0』(実業之日本社)、『編集進化論』(フィルムアート社)ほか。