キンドルをめぐる論争

2009年8月10日
posted by 仲俣暁生

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キンドルでの読書をめぐって、さまざまな議論が起きている。日本でも紹介された『グーテンベルクへの挽歌』 の著者として知られる批評家スヴェン・バーカーツは、今年3月にAtlanctic誌に掲載された「キンドルに抵抗して(Resisting the Kindle)」という記事で、「ページからスクリーンへの変化」が読書にもたらすことに対して否定的な意見を発表した。

バーカーツはこの記事で、キンドルなどによる電子読書が、「ウィキペディアが情報に対してもたらしたのと同じようなことを、文学や人文科学に対してもたらすのではないか」という懸念を表明している。

こうしたバーカーツの意見を受けて、セバスチャン・メアリーが書いたwill the real iPod for reading stand up now please? (日本語訳は「いまこそ本当の読書用iPodを」)という記事がif:booksに掲載されている。

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執筆者紹介

仲俣暁生
フリー編集者、文筆家。「シティロード」「ワイアード日本版(1994年創刊の第一期)」「季刊・本とコンピュータ」などの編集部を経て、2009年にボイジャーと「本と出版の未来」を取材し報告するウェブ雑誌「マガジン航」を創刊。2015年より編集発行人となる。著書『再起動せよと雑誌はいう』(京阪神エルマガジン社)、共編著『ブックビジネス2.0』(実業之日本社)、『編集進化論』(フィルムアート社)ほか。