トークイベントのお知らせ

2011年2月14日
posted by 仲俣暁生

2月の下旬から3月上旬にかけて、「マガジン航」関係者が出演する出版をめぐる二つの催しが東京で相次いで開催されます。

公開シンポジウム-「紙 vs 電子」から遠く離れて

まず2月22日(火)には、シアターイワトで出版者ワークショップの主催による公開シンポジウムVol.1として、〈「紙vs電子」から遠く離れて―出版者が生きる道を考える〉が開催。これには「マガジン航」発行人でもあるボイジャー代表の萩野正昭が出演します。

このほかにBCCKという電子出版の活動も行っているデザイナーの松本弦人氏、オンラインによる新世代文芸メディア『最前線』を手がける星海社の太田克史氏、そしてそのDTPプロデューサーをつとめる凸版印刷の紺野慎一氏が登壇。デジタルとアナログメディアの双方を知るプロフェッショナルによるトークセッションが期待できそうです。イベントの詳細は下記のとおり。

■日時 : 2月22日(火)19:00-21:30/開場18:30
■会場 : 神楽坂 シアターイワト(地図はこちら

■イベントプログラム
・ワークショップメンバーによるイントロ 「出版者にとっての『紙』と『電子書籍』」
・パネルディスカッション 「紙の本だからできること/電子書籍だからできること」
・パネラー:萩野正昭(ボイジャー)/松本弦人(デザイナー)/
太田克史(星海社)/紺野慎一(凸版印刷)
※出演者の詳細なプロフィールなどは、シアターイワトのウェブサイトを参照ください。

■チケット : 1,500円 自由席
■定員 : 100名 申込先着順
■参加方法 : 参加予約をご希望の方は、件名を「22日イベント予約」として、お名前を明記の上、2月19日(土)までに以下のメールアドレスまでお申込ください。予約完了の方には返信いたします。なお、当日の入場は予約者優先とさせていただきます。
メールアドレス: syuppanmono@gmail.com
出版者ワークショップ Twitter: @syuppanmono

このシンポジウムを主催している「出版者ワークショップ」の中心メンバーであるライター・編集者の南陀楼綾繁さんからコメントをいただいたので紹介します。

「出版者ワークショップ」は、出版社と出版流通という既存のしくみに頼るのとは別のやり方で、個人がつくりたい本をつくり、読者に手渡すところまでを実現するための実験の場として、2010年6月から開始しました(現在のメンバーは15人前後)。適宜、外部からのゲストをお呼びし、お話を聞いています。これまでお呼びしたゲストは、鎌垣英人(大阪屋)、高崎俊夫(フリー編集者)、淺野卓夫(サウダージ・ブックス)、木村敦子(「てくり」)、木村衣有子(文筆家)、島田潤一郎(夏葉社)、角張渉(レコードレーベル「カクバリズム」)などです。

今回のシンポジウムは、このワークショップでやってきたことの延長線上にあります。フォーマットやプラットフォームの話ではなく、紙とデジタルとの比較でもなく、電子書籍は出版という行為をどのように変えるのか、何をもたらすのかを知りたい。そのために、パネラーをどなたにお願いするか、どういう構成にするかも含めて、ワークショップのメンバーが準備してきました。本づくりに興味のある方なら、どなたでも歓迎します。ぜひ聴きにいらしてください。

続・2010年代の出版を考える

asagaya110301つづいて翌週の3月1日(火)には、阿佐ヶ谷ロフトAで「続・2010年代の出版を考える~電子出版ブームの先へ」が開催。こちらには「マガジン航」編集人の私、仲俣が参加します。出演はほかに、橋本大也氏(ブロガー・「情報考学」)、高島利行氏(語研・出版営業/版元ドットコム)、沢辺均氏(ポット出版/版元ドットコム)。さらにゲストを予定しています。

このメンバーからもわかるとおり、これは昨年行われた「2010年代の出版を考える」の続編(Ustreamで配信された前半の映像がいまも視聴できます。ことしも配信の予定)。「電子書籍ブーム」が吹きあれたわりに成果の乏しかった昨年をふり返りつつ、電子書籍の話題に限らず、幅広い視点から今後の「出版」のありかたをを考えるイベントにしたいと考えています。詳細は下記のとおり。

■日時:2011年3月1日(火) OPEN18:30/START19:30
■会場:阿佐ヶ谷ロフトA(地図はこちら
■出演:橋本大也(ブロガー・「情報考学」)、仲俣暁生(フリー編集者・「マガジン航」
編集人)、高島利行(語研・出版営業/版元ドットコム)、沢辺均(ポット出版
/版元ドットコム)+ゲスト
■チケット:前売り、当日共に¥1,500(飲食代別)
※前売りチケットはローソンチケット【L:36739】、ウェブ予約にて2月1日より発売開始。

以下に、このイベントの告知用に書いた口上を転載します。

昨年2月に豪雪のなかで行われた長時間トークイベントの1年ぶりの続編。「電子書籍元年」といわれた2010年。メディアは猫も杓子もiPad,キンドル、そしてガラパゴスといった話題で大騒ぎを繰り広げた。でもオモテの流行語「電子書籍」に対し、2010年のウラの流行語は実はユーザーサイドの自発的なメディア活動としての「自炊」「ダダ漏れ」だった……。

電子書籍を簡単に自作したり、簡単に映像中継できる機器がある一方で、出版社からは魅力的なコンテンツが供給されない「元年」とは何だったのか?
現在の「道具はあるのにネタがない」のはなぜなのか?
それに対するユーザー主導によるDIYの流れは今後どうなるのか?
こうしたメディアの劇的変化は、どんな可能性を提示しているのか?
魅力的なコンテンツを生み出すために出版社や編集者はこれからなにをすることができるのか、しなければならないのか? 等々といったトピックをめぐり、昨年と同じメンバーにゲストを加えて、今年も本音&ぐだぐだトークで迫ります!

こちらのイベントには、開催に先立って出演者と参加者が交流できるよう、流行りのフェイスブックでイベント告知ページも作成しました。昨年同様、多くの皆さんの参加をお待ちしています。

執筆者紹介

仲俣暁生
フリー編集者、文筆家。「シティロード」「ワイアード日本版(1994年創刊の第一期)」「季刊・本とコンピュータ」などの編集部を経て、2009年にボイジャーと「本と出版の未来」を取材し報告するウェブ雑誌「マガジン航」を創刊。2015年より編集発行人となる。著書『再起動せよと雑誌はいう』(京阪神エルマガジン社)、共編著『ブックビジネス2.0』(実業之日本社)、『編集進化論』(フィルムアート社)ほか。