読み物コーナーに、エド・ベイリーの「プライバシーに関する電子書籍バイヤーズガイド」を追加しました。この記事は電子フロンティア財団のサイトに公開された、エド・ベイリーのAn E-Book Buyer’s Guide to Privacyという記事からの翻訳です。
アマゾンのキンドルをはじめ、アメリカですでに実用化されている五つの電子書籍(電子書籍端末によるものだけでなく、Google Booksのようなサービスも含む)におけるプライバシー・ポリシーを比較したものですが、こうして比較してみると、サービスを提供する企業によって、思いのほか大きな差があることがわかります。
たとえば「読者が何を読んでいるか監視できる?」という項目を比較すると、アマゾンやグーグルは読んだ本のタイトルやページの履歴を記録・読書履歴を「記録」(グーグル)したり、「無線を通して収集する可能性がある」(アマゾン)のに対し、ソニーのReaderでは「機器上のコンテンツに関する情報を記録しない」とされています。
たしかに、これまでのアマゾンやグーグルのビジネスモデルを考えれば、たんに電子書籍のコンテンツを販売するだけでなく、読者の読書行動の履歴を集めることが彼らの電子書籍ビジネスの根幹にあるのではないか、とさえ想像したくなります(実際、アマゾンは「ウィスパーシンク(Wispesync)」という技術によって、読者の閲覧しているページをPCとキンドル端末で同期させています)。
電子書籍の普及がアメリカで急速に進んでいることは先日の記事でも紹介しましたが、デバイスの見た目や使い勝手だけでなく、プライバシー・ポリシーのような部分まで比較しながら、利用するサービスを選択したほうがよさそうです。
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執筆者紹介
- フリー編集者、文筆家。「シティロード」「ワイアード日本版(1994年創刊の第一期)」「季刊・本とコンピュータ」などの編集部を経て、2009年にボイジャーと「本と出版の未来」を取材し報告するウェブ雑誌「マガジン航」を創刊。2015年より編集発行人となる。著書『再起動せよと雑誌はいう』(京阪神エルマガジン社)、共編著『ブックビジネス2.0』(実業之日本社)、『編集進化論』(フィルムアート社)ほか。
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